「あのね〜キミはね〜、僕がいない間の暫定王者なのね〜」
とカネヒキリがヴァーミリアンに突き付けた様に思えました。2008年のジャパンカップダートとこの東京大賞典。
…カネヒキリの口調がマキバオーみたいなのかは定かではないですが^^;
屈腱炎で2年以上の休養がありました。本来はもっと早く復帰出来る予定でしたが、屈腱炎が再発する形で、長期休養。
正直、競走馬としての復活は不可能に近いと思った方は多かったと思います。私は無理だと思っていました。
カネヒキリ長期休養中にダート界のトップに登りつめたのが、同期のヴァーミリアン。カネヒキリもヴァーミリアンもディープインパクトと同じ2002年産まれ。
ヴァーミリアンは2歳時にラジオたんぱ杯2歳ステークスを勝ち、ディープインパクトのライバルになりえるか?と注目を集めましたが、3歳になると芝で苦戦が続き、半兄サカラートがダートで才能開花したこともあり、弟もダート挑戦へ。そしたら…ヴァーミリアンもダートで大活躍。
カネヒキリがいぬ間、国内の主要ダートタイトルはほぼ手中に収めたヴァーミリアン。2008年はややズブさが目立つ様な印象ではありましたが、6歳となって円熟の域に達して、頼もしいダート王者の風格でした。
一方のカネヒキリは、当初の予定より一年以上長く休養を強いられ、2008年10月の武蔵野Sでようやく競馬場に帰ってきました。
ヴァーミリアンの主戦は武豊騎手でしたが、カネヒキリの主戦もまた武豊騎手。カネヒキリの復帰戦には武豊騎手が跨りました。
久々の競馬で力みが凄く、また周りを囲まれて抜け出せないレースとなってしまいましたが(確かに9か10着)、
「スムーズな競馬出来ていたら…もしかして…」
と私は感じました。
…感じましたが、まさかジャパンカップダートを勝つとは夢にも思いませんでした。ルメール騎手が鞍上で、ヴァーミリアンは武さんが前腕部骨折していたため、岩田騎手でありました。
「主戦の武さんが乗ってたら、どんな結果だったんだろ…」
と思ったりもしましたが、屈腱炎で長期休養していたカネヒキリの復活劇には、目頭が熱くなりましたね(^^)
同世代に日本ダート史上屈指の実力者が2頭いる幸せ。そしてその2頭の激しい叩き合いとなったこの東京大賞典。
4角曲がってくる2頭の勢い、武さんが激しくビシバシ鞭を入れる様、それに応えようとするヴァーミリアン。しかしそれを抜かさせないカネヒキリの勝負根性、ルメールさんの追いっぷり…全て見応えありました。素晴らしいレースです。
私は2005年のジャパンダートダービーを、カネヒキリ目当てで現地で観ていました。綺麗な栗毛で可愛らしい雰囲気に感じましたが、競馬は力強くて勝負根性が素晴らしいという、なんて勇猛な馬なんだと思いましたね(^^)
2年間という長い間、屈腱炎の治療で心身共に燃え尽きたんではないかという不安が杞憂に終わったこと、これはカネヒキリの強靭な精神があったからこそだと思います。
文頭ではヴァーミリアンを馬鹿にする様な勝手な想像を書いてしまいましたが、ヴァーミリアンも素晴らしいダートホースでした。
2頭共に8歳まで現役を続けて、ヴァーミリアンは8歳になってもG1制覇したことがお見事でした。
体質面では大きな怪我なく、数多くのレースに出走したヴァーミリアンに軍配が上がると思います。総合的には2頭共に同じレベルの、歴史的名馬だと思います。
その2頭が同期であり、他にディープインパクトやシーザリオやラインクラフトもいた2002年誕生馬、めちゃめちゃ破壊力ある世代でしたね。爆発力のある名馬が多いと言いますか(^^)
牡馬クラシック組と考えると、ディープインパクト以外は芝で強いという馬は少なかったですが、世代全体ではパンチの効いた良い世代です。シックスセンスが故障しなければどうなったんでしょう。